#28 転職活動の日々2

ユニフォームの生産会社の面接日、会社に到着するとミーティングルームに通された。

では、まず面接を受ける前に筆記試験を受けてもらいます。
筆記試験?マジ?時事問題でも出るのか?と訝しがるが淡々と説明は進む。
20分したら戻ってきますので、それまでに完成させてください。よーい、はじめ!

おいおいおい、こちらは面接を受けるだけと聞いていたのに、いきなり筆記試験とは…問題を見ると、服飾業界のことがいくつかと、この会社の社長や事業について答える問題が並んでいた。
いや、分かるわけないだろ。こちとら面接が受けられるところを片っ端から受けてるだけなんだから、名もなき会社の沿革やら社長やら答えられるわけない。

周囲を見渡すと妙なことに気づく。試験とうたっている割には試験官はいない。それどころか密室で僕一人だから、カンニングはし放題である。

どうする??
誰も見てないぞ?
いや、監視カメラがあって見張られている??

僕の本性を見透かすための試験なのか?
どこかでカンニングするシーンを皆で見ているんじゃないか?
しかしカンニング中に社員が戻ってきたら気まずい。というか落ちる。。
それに名もなき会社の社長の名前を書けるのも普通に考えたらおかしい。これは罠に違いない。

ありとあらゆる感情が邪魔し、試験にはとても集中できる状態では無かった。ああぁ、どうすれば良い?どうすれば…

むむむむ。。。

よし!

ならばカンニングだ!!!笑

そもそもカンニングしないとほぼほぼ0点であることは間違いなく、結果的に少しでも点数を取ってといたほうが良い、という結論に達した。
いつ戻るかとわからない社員に怯えながら、必死にスマホで検索しては回答を書き込む。しかし、色々なことが頭に浮かび、カンニングに全く集中できない。
そして中途半端なカンニングをした解答用紙を提出することになった。正直、その後の面接でどんな話をしたかなど全く覚えていない。
結果は思った通り不合格。カンニングせず気持ちよく0点を取っていた方が実は受かっていたかもしれない。何が正解だったのかはこの会社のみぞ知る…。