#10 初配属先について

大阪の寮生活について、工場の寮に比べると幾分改善されたと思う。フロトイレは自室にあるし、なにより毎晩のように悩まされたエチエチな音源も聞こえてこない。壁は最低限の機能を果たしているようで安心した。
ただ、僕はこう見えて(どう見えて?)自炊ができる自称料理男子なのだが、コンロがガスでもなく、IHでもなく、なんと電熱線(というのが正しいのだろうか?)が用意されていた。試しに鍋を置いてスイッチを押すと、ほどなく鍋は温まり調理ができるのだが、微妙な熱加減が難しい。しかも料理後にうかつに電熱線に触ってしまったことがあるが、クソ熱っちいのだ。あまりの使い勝手の悪さに結局料理の頻度は低くなり、外食に多く頼ることになっていった。

僕の住む町には、コンビニ・スーパー・牛丼チェーン・焼き肉店・カフェ・カラオケなど最低限の店が存在し、少し遠出すると大型のショッピングモールもあった。利便性はかなり良かったと思う。
ベッドタウン的な位置づけで、交通量・自然もほどほどにあり、住みやすい町だった。

会社の大阪支店は梅田駅近くのビジネス街にあり、周りにはランチができるお店も多く、環境としてはすごく恵まれていた。僕は寮から片道数10分かけて通勤していた。

さて、ここで僕の配属となった係を紹介したいと思う。

課長…仕事に関してはすごくやり手。営業員時代も課長になってからも変わらず社内の評価は良かったのだと思う。ただし、やる気のない社員には厳しく、僕は毎日詰められることになることはまだ知らない。

係長…優秀で、課長から評定でA評価(最高評価)をもらうほど信頼され、成果を出していた。常識人で僕のOJT社員でもあった。適度に叱って社会常識のあれこれを詰め込んでくれた。数少ない良識人。

主任…優秀。僕とあまり関りは無かった。

先輩1…チャラ男。人脈は広いが仕事に対する熱量は少な目。

先輩2(長宗我部先輩)…僕の社会人としての理想像であり、多大な影響を受けた人。かと言って彼に心酔していたわけではなく、会社を去るまではむしろ冷めた目で見ていた。

先輩3(豚)…おしゃべりする豚。

女性社員5名…配送などを担当するお姉さま方。

結構な大所帯であり、島は2つに分かれていた。課長を含む営業員主体の島と、僕の島は5名体制で、僕の他にはお姉さま方しかいなかった。これにより、営業の島でどんな会話が繰り広げられているのか把握しづらくなり、若干の不利に立たされることになった。